商品先物市場と外国為替市場で資産運用

外国人投資家は日本の株、債券、通貨、商品のうちで何に一番魅力を感じるか

まず最初に、震災の前と後でポートフォリオにどんな変化が生じたか教えていただけますか。2月にお目にかかったときは、日本株と日本円を保有していましたよね。今はいかがですか。

 

日本株は買い増しよ。主に小型株とインデックスだね。あの震災で世界が終わるわけではないし、私は日本の復興を信じているから。"buy disaster (災害は買い)。これは私の経験則だ。たとえ下げたとしても、それが結果的には底値であることが多い。シンガポールに移り住んでみて、中国にも同じ趣旨の格言があることが分かったよ。

 

日本株や日本円の保有は長期的なものですか?

 

ノー。日本株や日本円を保有するのは、あと数年だろうね。5〜10年といった長期で保有するつもりはないなあ。つまり長期的には日本売りというわけだ。その理由は、日本経済が大きな問題を二つ抱えているため。一つ目は人口構成。少子高齢化が進み人口が減少している。二つ目は公的債務が巨額であること。こうした問題を考えると、日本に関する資産を長期で保有することは残念ながらできないね。

 

私はある時点からは、日本関連の資産は株も債券も通貨も、すべて売って、その後は持たなくなるだろう。日本はあと数十年で非常に深刻な問題に直面することが予想されるからね。

残念だが、若く賢い人は日本を離れるだろう

確かに。日本政府の借金である国債は、1400兆円の個人資産で買い支えられていますが、ただし、その資産を保有する団塊の世代はリタイア時期にきています。これからは資産を食いつぶしていくから、1400兆円はどんどん目減りしていく。

 

こうした事態に加えて震災もあり、日本人の中でも国外に資産を移したり、本格的に海外移住しようとする動きもあるようです。

 

特に若い世代はそうだろうね。彼らの気持ちはよく分かるよ。言葉の壁があるから、英語でも仕事ができるような“Smart people leave Japan.(賢い人は日本を離れている)”

 

震災後の日本に対して見方は変わりましたか。

 

さほど変わらないよ。震災後は私は家族で日本食レストランに行ったんだ。あの後、シンガポールの日本食レストランは閑古鳥が鳴いている状況だったから、何か応援の気持ちを示したいと思ってね。

 

日本の読者は励まされますね。ところで、現在の資産配分は、何か中心ですか。

 

カレンシー(通貨)とコモディティー(商品)。これは、日本で大地震が起こる前も後も変わっていないよ。まずは通貨の話から始めようか。初めに個人投資家に伝えたいのは、現金が安全資産というのは間違いということだ。例えば、日本人が現金をたくさん持っているといえば、それは日本円のこと。米国人なら米ドルを意味するよね。誰でも価値中立な「現金」を持てるわけではなく、どうしても白国のおカネをたくさん持つことになる。すると政府の金融政策などで通貨の価値が変動するリスクがあるというわけだ。

 

だから、私は外貨投資の中でも色々な国に分散しているよ。最近、特に評価しているのは人民元。ずっと上がってきているからね。人民元を持つことはいちばん安全な投資だと思う。

 

人民元の問題は流動性が規制さ・れていることで、ちょっと金融機関に電話して多額の人民元を入手するということはできない。それでも、今現在は人民元はいちばん好きな通貨だな。

 

私も人民元は好きですが、おっしゃるように、まだ一般には人手が難し過ぎるので、やはり個人資産としては米ドルとユーロがメーンにならざるをえない。通貨について、ほかの「他の選択肢」はあるのでしょうか。

 

fx1000通貨ゴールドカード人民元

東京市場早朝、格付け会社ムーディーズが「米国債の格付け『AAA』を引き下げ方向で見直す」と発表したことを受け、米ドル売りが優勢。ドル円は79円台前半から78円台後半へ下落する一方、ユーロドルは1.41ドル台後半から1.42ドル台半ばへ、ポンドドルは1.61ドル台前半から半ばへ上昇した。その後、同社の「米連邦債務上限が引き上げられデフォルトがなければ、米国債の『AAA』格付けを確認する」との報道を受け、米ドル買いへ傾斜。ドル円は79円台前半へ反発し、早朝の下げ分を取り戻す中、ユーロドルおよびポンドルは下げ渋ったことからユーロ円、ポンド円の上げ幅が拡大した。